戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)
第2期/フィジカル空間デジタルデータ処理基盤
CPS構築のためのセンサリッチ柔軟エンドエフェクタシステムの開発と実用化
協力支援企業募集 CPS構築のためのセンサリッチ柔軟エンドエフェクタシステムの開発と実用化

本SIPプロジェクトの目的

プロジェクト概要

(1)フィジカル空間デジタルデータ処理基盤

本プロジェクトは,内閣府が中心となり関係省庁・機関が連携して推進する「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)2期/フィジカル空間デジタルデータ処理基盤」の一部として実施しています.フィジカル空間デジタルデータ処理基盤の詳細は以下をご欄下さい.

https://www.nedo.go.jp/activities/ZZJP2_100124.html

(2)本プロジェクト名称と実施者

CPS構築のためのセンサリッチ柔軟エンドエフェクタシステムの開発と実用化

研究代表者 川村貞夫 立命館大学 教授 株式会社チトセロボティクス 取締役副社長

共同提案者 古川英光 山形大学 教授

金岡克弥 株式会社人機一体 代表取締役社長

西田亮介 株式会社チトセロボティクス 代表取締役社長

 

本プロジェクトにご協力頂いている企業例

  —-随時紹介してまいります—–

今後も企業からの積極的なご参加を期待しています.

 

(3)背景

状況

製造業を中心にたくさんのロボットが利用されています.多くの場合は,ロボットの作業環境を確定化し,大量に同一製品を製造します.また,自動化が進んでいる分野の対象物は,剛体で定型物です.このような条件に合致せず,ロボットによる自動化が困難な現場も多く存在します.その結果,労働生産性の低い産業現場となっており,今後の我が国の労働人口減が深刻な問題を発生すると予想されます.

問題分析

ロボットでの自動化が遅れ,労働生産性が低い作業現場の特徴を以下と分析します.

 ・多品種少量生産で段取り変えが多く,大規模製造ラインとして実現できない.

 ・現状の剛体ロボットの教示再生方式では不確定な環境へ対応できない.

 ・対象物の多様な形状,柔軟性,摩擦などの特性や作業の高速性の要求の理由からハンドリングが困難となる.

工学的問題設定

このような問題を工学として分析して以下のように整理します.

認識問題

多種多様な対象物と取り扱く必要がある.また,大規模な工場ではなく小規模で変動する環境が多く,ロボットの外部の環境認識を従来よりも高度に達成する必要がある.このため,一般にセンサの種類と数を増やす必要がある.さらに,得られたデータに基づく認識技術が必要となる.

機構/制御問題

多様な形状,多様な粘弾性/摩擦特性を有する対象物を確実に把持する必要がある.現状の工業用ハンドでの達成は困難である.さらに,多くの場合に高速性が必須条件となっている.

実用化問題

生活必需品など最終的な商品の価格の上限が設定される.また,内容変更が頻繁に生じるので,高価格な自動化システムの導入は困難であり,自動化システムを低価格で実現する必要がある.さらに,製造数が多く時間制約があるため,高速作業が要求される.自動化システムの運用,保守点検などの担当者を置けない小規模事業や現場が分散する場合などがある.

 

(3)本プロジェクトのアプローチ

前述の問題が複合的であるので,本プロジェクトでは以下のような複合的な解決法を実施しています.

①認識問題解決

積極的接触利用による変動環境認識

エンドエフェクタ(ハンド)を柔軟化して,変動環境から生まれる幾何情報誤差を柔軟性によって吸収し,ロボットと対象物間に大きな力の発生を避ける.また,逆に積極的に対象物や環境に機械的接触から画像では得られない粘弾性や摩擦などの情報を取得する.

力/接触の情報を加えたAI/IoT技術

従来の視聴覚情報に力/触覚情報を加え,AI技術を活用してエッジコンピューティングによる認識やクラウドでの認識を行う.

②機構/制御問題解決

柔軟体の構造設計法

高分子材料を利用してハンドを柔軟化する.その際の,柔軟体の構造設計法を開発する.この結果を用いて空気圧駆動のソフトハンドを開発する.

摩擦現象の確実化技術

油や水が付着した場合の対象物体の摩擦係数を安定化させるために,高分子材料の材料選定や表面形状設計技術を開発する.

多次元データ入手のためのセンサリッチ技術

ハンドに種々のセンサを装着して,フィジカル空間の情報を多く入手することによって,困難とされてきたハンドリングと実現する.モータ駆動の場合にトルクセンサ利用による柔軟化を実現する.軽量柔軟な高分子材料センサを開発し,力/触覚情報を入手する.

ビッグデータ/IoT活用による確実化技術

AIなどを利用して,確実なハンドリングを達成する.

③実用化問題解決

プリンティッドエレクトロニクス技術

柔軟ハンドなどに適したセンサや配線をプリンティッドエレクトロニクス技術により実現し,小型軽量化と利便性の向上を図る.

高度3Dプリンタ技術

マルチマテリアル3Dプリンタを利用して,多様な粘弾性材料を利用した複雑構造体を製作する.

IoTによる保守点検技術

遠隔保守点検作業を可能とするようにIoT技術を利用する.

このように,本プロジェクトでは,材料,デバイス,システム,IoTなどの技術を統合して,センサリッチ柔軟エンドエフェクタシステム(以下SSESと記述)を開発します.

以上の内容は,下図となります.

 従来のICTやハンドリングの個別技術のみでは解決が困難であった課題に,本プロジェクトでは,多くの要素技術を統合し,CPSを構築することによって解決します.また,プロジェクトで実現された技術は,PF(プラットフォーム)化することによって,広く普及することをプロジェクトの目的としています.

研究責任者 立命館大学 教授

川村 貞夫