電子工作

ブレッドボード

手軽に電子回路を構成するためには、ブレッドボートと言う差し込み式の基板を用います。回路の動作検証を手軽に行うためには有効ですが、長期に渡って使うのはお勧めしません。ユニバーサル基板や専用基板を作成し、はんだ付けした電子回路を作成することが望ましいです。

ブレッドボードの内部には金属電極が設けられており、表面の穴に部品のリードやジャンパー線を差し込むと接触によって接続されます。電極の配置によって接続される穴は決まっているので、上手く回路が構成できるように工夫してください。

                        

図2. ブレッドボード

図3.ブレッドボードに部品を配置した状態       図4.内部電極を使用して実際に電流が流れるルート

図5.回路図

図6.押しボタンを押すとLEDランプが点灯

図7. ブレッドボード上に製作した実際の電子回路の例

 

ユニバーサル基板

プリント基板材料にあらかじめ穴が開けられており、半田で部品を接続するためのランドが設けられています。
ブレッドボードと似た間隔で穴が開いていますが接続用の金属電極はありませんので、半田と半田ごてを使って電気回路を作っていきます。

図8. ユニバーサル基板

図9.ユニバーサル基板を使った実例 

電子回路設計

・基板設計

設計を行うには、基板CADソフトウェアを利用します。
Autodesk社の「Fusion360」や、RS Components社の「DesignSpark PCB」などを使用します。
Fusion360では、世界で広く使われた「EAGLE」という基板CADソフトウェアが統合されており、部品を登録する際に、幅広くサポートされているEAGLE用のライブラリを使って登録することができます。

・BOM

設計した回路で使用する部品リストをまとめます。これをBOM(Bill of Materials)と言います。

・基板製作

プリント基板を作成する場合、自作する方法と、プリント基板製造サービスを用いる方法があります。

①自作の場合

 作成する基板が1枚のみ等は、設計した基板をもとに、自作することが可能です。透明フィルムに印刷した回路パターンを用いて、感光基板に焼き付け、現像を行い、エッチング液で不要な銅箔を溶かすと出来ます。自作に必要な材料や薬品は、サンハヤト株式会社より販売されています。

②プリント基板製造サービスを用いる場合

自作する場合は、材料や薬品などの他に基板の穴開けや切断などの加工が必要なので、初期費用がかかります。このため、オンラインで注文可能なプリント基板製造サービスを用いると便利でしょう。
このようなサービスとして、P板.comなどがあります。

・実装

設計した基板に電子部品を取り付け(はんだ付け)ます。

部品に線(抵抗、コンデンサ等)や足(トランジスタ、IC等)がついている様なディスクリート部品を用いる場合には、糸はんだとはんだこてを用いて、はんだ付けすることが可能です。しかし、近年は小型化や実装密度を上げるため表面実装タイプの使用が多くなっています。この場合は、小さなはんだ粒とペースト状フラックスを混合した、クリームはんだをプリント基板上のはんだ場所に塗り、そこに部品を置いて、リフロー炉で温度を上げはんだ付けする方法が用いられています。

  はんだ付け作業

作業自体は、インターネットで検索すると数多く紹介されていますので、そちらも検索して参考にされるのが良いでしょう。基本的には「はんだごて」を通電して温度を上げ、「はんだ」と呼ぶ材料を溶かして部品どうしの電気的接続と共に機械的に保持する役割を持ちます。
電子回路の組み立てでは、通常は「プリント基板」と呼ばれる「絶縁版に銅箔で配線パターンを描いたもの」に部品を搭載し、銅箔との接合をはんだ付け作業にて行います。そのほか、電線どうしの接続や端子板への配線、部品搭載などでも幅広く使われています。

・はんだ付けに必要な基本的なツール
  はんだごて
  はんだごてスタンド(こて先クリーナー付き)
  はんだ
  はんだ吸い取り線
  耐熱マット

・作業手順
  ⅰ) はんだごてに電源を接続し、はんだ付けに適したはんだの溶融温度まで上げます。
  ⅱ) プリント基板に部品を配置します。
  ⅲ) プリント基板の銅箔と、部品のリードにはんだごてを当てて温度を上げます。
  ⅳ) 温度を上げた接合部に「はんだ」を供給し、溶融させます。
  ⅴ) 銅箔と部品リードにはんだがなじみ、綺麗なフィレット(富士山の裾野の形状)ができたらはんだごてを離し冷却します。
  ⅵ) 目視にて十分に電気的接合、機械的接合ができているかを確認する。場合によっては通電試験を行います。
  ⅶ) はんだが意図しない端子に流れて短絡した場合などは、はんだ吸い取り線を使用して余分なはんだを除去します。
  ⅷ) 連続してはんだ付け作業を行う場合、適宜はんだごてのこて先をクリーナーで清掃して作業を行います。

・注意点

はんだごてのヒーター部や、はんだ付けの際の接合部は高温になるので火傷に注意してください。
はんだ付けを行う対象物は耐熱マットなどに載せてはんだ付け作業を行うなど、熱に配慮して作業してください。
火災予防のため、はんだ付け作業が終了したら確実にはんだごての電源を切り、温度が下がったのを確認してから所定のはんだごて置き場に収納します。

 

・動作確認

動作確認のためには、電源が必要となります。ここで、電源器について説明します。

電源器には、定電圧(CV)電源と定電流(CC)電源があります。

定電圧電源は、負荷が変動しても、一定の電圧を保持するもの、定電流電源は、同様に負荷が変動しても、常に一定の電流を流し続ける電源のことです。

図22.定電圧/定電流電源動作

 

図23.定電圧(安定化)電源(左:直流安定化電源、右:交流安定化電源) 

出典:菊水電子ホームページ

定電圧電源は、一般的に直流を電源とする機器に使用されます。代表的なものでは、パソコンやスマホのACアダプターがあります。定電圧電源で負荷が変動した場合、電源側で、設定された電圧になるよう電源電圧を調整します。負荷増大により電流も上昇していくので、必ず最大電流の制限値を設定することで、過負荷による電源装置の故障・破損を防止します。これら直流用の安定化電源と呼ばれるものは、CC(定電流)/CV(定電圧)モードに切り替え可能なものがあります。

また、交流の定電圧電源(交流安定化電源)も商用電源を必要とする機器の開発や製品試験などに良く使用されます。

定電流電源は、LED電球やLEDスタンドなど、LEDを使用したものに使用されています。このほかには、充電器なども定電流電源です。

定電圧電源で負荷が変動した場合、電源側で、設定された電圧になるよう電源電圧を調整します。

動作確認のため、一般に回路に供給する電源は、定電圧電源を用います。電源供給部に規定の電圧が印加されていることを確認の上、各デバイスの電源供給部、出力電圧の確認を行います。

図24.オシロスコープ

また、特にアナログ回路では、設計通りに信号が出ているのかを、オシロスコープを用いて確認します。

図25は、圧電フィルムセンサーを用いて、X/Y方向にかかった力を検出する場合のセンサーとオシロスコープを接続した場合の図です。

図25.圧電フィルムセンサーとオシロスコープの接続

オシロスコープは、通常X軸(横軸)を時間軸、Y軸(縦軸)出力(電圧)として表示しますが、これとは別に、X軸をセンサーBの出力、Y軸をセンサーAの出力(XYモード)とすると、図26.の右側のように力の方向と大きさに対する軌跡を観ることができます。

図26.オシロスコープ画面

 詳しくは(参考)オシロスコープの使い方 をご覧ください。


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