Raspberry Pi 5のPDH化

現在、PDHに使用しているRaspberry Piは、”Raspberry Pi 4 Model B”です。2023年9月28日に”Raspberry Pi 5“がリリースされました。また、2024年1月11日付で、総務省の技術基準適合証明を取得しました。

■ Raspberry Pi 5でハード的に変更になった点

Raspberry Pi 5でハード的に変更になった点をCPU周り以外でいくつか挙げておきます。

項目 Raspberry Pi 5 Raspberry Pi 4
RTC あり なし
電源ボタン あり なし
オーディオ・コンポジットビデオ・ジャック x 1
カメラ・ディスプレイ兼用コネクタ x 2
カメラ専用コネクタ x 1
ディスプレイ専用コネクタ x 1
PCIe 2.0コネクタ x 1
冷却ファン用コネクタ x 1
UARTコネクタ x 1
RTC用バッテリコネクタ x 1
PoE HATコネクタ x 1 x 1

詳細は、公式HPやRaspberry Pi 4との比較を行っているHPを参照して下さい。

■ Raspberry Pi 5のPDH化

そこで、Raspberry Pi 5をPDH化する検討を行い、次に示すように、R-MSMからBluetoothで環境センサのデータを受信して、Node-REDのダッシュボードで表示することが出来ました。

以下に手順を載せます。

■ 使用したRaspberry Pi 5

PDH化の検討に使用したRaspberry pi 5は、RAMサイズが8GByteで、SDメモリカードが64GByteのモデルです。OSはセットアップ時にも説明しますが”bookworm”です。次に、放熱Finを付ける前の写真を載せます。GPIOの下に”Raspberry Pi5”と書かれているのが見えます。

■ PDH化の手順の流れ

PDH化の手順の流れを以下に示します。

1. OSのインストールと起動

Raspberry Pi Imagerを使って書込みます。
※ Raspberry Pi Imagerの最新版はこちらのURL”Raspberry Pi OS”からダウンロードして下さい。

1) SDカードをカードリーダなどを使ってPCに接続します。
2) Raspberry Pi Imagerを起動したら、デバイス、OS、ストレージを設定します。
3) 「次へ」を押します。

4) OSのカスタマイゼーションを行うか聞いてきますので、「いいえ」を押します。
5) 本当に続けますか?と聞いてきますので、「はい」を押します。
6) 書込みと検証が終わったら、SDカードを抜いて、「続ける」を押します。右上の「×」を押して閉じます。

次に、Raspberry Piを起動します。

1) SDカードをPCから抜き、Raspberry Piに挿し、電源を投入する。
2)国名を入力
3)ユーザー名、パスワードを入力   user:pi, password: rcps-raspberry
4)WiFiを選択  r-cps-practice-5G  pass: practice-r-cps
5)Update Software で “Next” or “Skip”を選択。”Next”を選ぶと、updateが始まる。
6)Updateが完了すると、“Restart”のメッセージが出る。
7) Restartを押して、再起動します。

2. OSのバージョンアップ

最初の電源投入時に、Update Softwareを実行しなかった場合は、以下のコマンドを順次実行しアップデートする。

$ sudo apt update
$ sudo apt upgrade –y
$ sudo apt autoremove –y
$ sudo apt autoclean

3.ウィンドウマネージャの変更

Raspberry PiのOSの最新版は、”Bookworm”です。この”Bookworm”では、ひとつ前のバージョン”Bullseye”からウィンドウマネージャが変更になっています。

”Bullseye”:Open window with X11
”Bookworm”:Wayfire with Wayland

X11からWaylandに変わったことで、現在、Real VNCで接続が出来なくなっています。
Tiger VNC等の別のVNCを使うことで対応は可能ですが、PDHという観点からは、ハードが変わったことで使用環境をいちいち切り替えるのは避けたいです。そこで、ウィンドウマネージャをOpen windowに戻して使用します。

① 端末を開き、raspi-configを起動します。

$ sudo raspi-config

② メニューから”6. Advanced Options“を選び、リターンを押します。

③ 次に、“A6. Wayland”を選び、リターンを押します。

④ “W1 X11”を選び、リターンを押します。

⑤ “Openbox on X11 is active”と出てきますので、リターンを押します。

⑥ 最初の画面に戻りますので、タブ キーを押して、<finish>を選び、リターンを押します。

⑦ “Would you like to reboot now?”と出てきますので、<はい>を選んで、リターンを押します。再起動が始まります。

4. 設定の変更

インターフェースの設定を変更し、SSHとVNCが使えるようにします。

① メニューで[設定]⇒[Rasberry Piの設定]を選択する。

② ポップアップの中からインターフェースのタブを選ぶ。
③ SSHとVNCをONにする。

④ [OK]を押す。

5. 日本語入力

OSに日本語のかな漢字変換ソフトが入っていないようですので、インストールします。
入っている場合には不要です。

① fcitx-mozcをインストールします。
② インストールが終わったら、再起動します。

$ sudo apt install fcitx-mozc –y

③ 再起動したら、[設定]⇒[Fcitxの設定]を選択します。

④ 「入力メソッド」は、“Mozc”を選びます。
⑤ 「全体の設定」を選んで、“zenkakuhankaku” を押します。
⑤ キーを聞いてきますので、「半角/全角」を押します。

⑥ 閉じます。
⑦ 「半角/全角」キーを押すと画面の右上に
「あ」の字が出たり消えたりします。

6. Node-REDのインストール

① ブラウザを起動し、”Node-RED rapberry pi インストール“で検索します。”Raspberry Piで実行する“のページを選びます。

② Node-REDのホームページにあるスクリプトをコピーして、実行します。
③ 本当にインストールするのか?、Raspberry Pi用のNodeを追加するか?と聞いてくるので、2回“y“を押します。
④ インストールが始まります。

⑤ インストールが終わると、設定ファイル settings.jsの設定が始まります。内容は、あとからsettings.jsを編集して変えられます。

※ MACアドレスの調べ方。ターミナルを開いて、

   $ ip a

 で出てきたメッセージのwlan0のlink/etherの部分です。

 

 

この場合、MACアドレスはd8:3a:dd:c4:3f:e7なので下4桁を使って、flows_gw3fe7.jsonとします。

 

 

 

 

 

 

⑥ 以下のコマンドを打って、電源投入後自動で実行されるように設定します。

$ sudo systemctl enable nodered.service
$ sudo systemctl start nodered.service

⑦ ブラウザを起動して、http://localhost:1880/ にアクセスします。ユーザー名とパスワードを聞いてきますので、先ほど設定した値を入力します。

7. PDHフローの導入

② https://sip-sses.net/r-cps-top/のページから、PDHのフローをダウンロードします。

a) 第2巻の2-1. 最新版ソフトウェアへの更新 を選びます。

b) 移動したページの一番下に移動します。そして、“ソフトウェアのダウンロードページ”を選びます。

c) 移動したページの一番下に移動します。そして、PDHソフトウェアをダウンロードします。

d) ダウンロードしたファイルを解凍します。

e) PDH-v133のディレクトの下に解凍されます。

f) flows_PDH-v133.jsonを.node-redにコピーします。

$ cd PDH-v133 
$ cp flow_PDH-v133.json ~/.node-red/flows_gw(MACアドレス下4桁).json

③ 新しいjsonファイルを読み込ませるため、Node-REDを再起動します。

$ sudo systemctl restart noderes.service

④ ブラウザを開いて、http://localhost:1880/を開きます。タブが追加されています。

8. preMSM.tgzの転送と展開

① sftpを使って、PDHにpreMSM.tgzを送る。もしくは、USBメモリでコピーする。

② tar xvf preMSM.tgz で解凍する。

③ cd preMSM ディレクトリを移動

④ ./gw_hname.sh を実行

⑤ 再起動 → ホスト名が変更されたことを確認

9. R-MSMのバインド

① ブラウザを起動し、http://localhost:1880/ui にアクセスし、Node-REDのダッシュボード画面を開きます。
② タブをSettingに変更し、センサーモジュールの登録にR-MSMのIDを入力して、接続を行います。

③ 接続がうまく行くと、ダッシュボードのタブ R-MSM GWの画面にグラフが表示されます。

10. Real VNCでの接続確認

Open window with X11にウィンドウマネージャを変更しているので、Real VNCで接続できます。

11. その他の設定

11-1. CtrlキーをCaps Lockに割り当て(必要であれば)

1) X11の場合

① 以下のファイルを編集。

 XKBOPTIONS=“”  ⇒ XKBOPTIONS=“ctrl:nocaps”に修正

② 再起動

2) waylandの場合

① 以下のファイルを編集。

$ sudo nano ~/config/wayfaire.ini

 xkb_options=  ⇒ xkb_options=ctrl:nocapsに修正

② 再起動