電源 

マイコン、センサ、直流モーターなどを動作させるためには、直流電源(DC電源)が必要です。一般家庭のコンセントは交流100V(AC100V)なので、ここから所望する直流電圧を供給する機器を電源器(パワーサプライ)と言い、以下のようなものが市販されています。写真は菊水電子の電源器。

定電圧電源と定電流電源

電源には、定電圧電源と定電流電源の2種類があります。電源に繋いだ負荷が変化した場合、前者では、電源電圧を一定に保つために電流が変化します。後者では、電源電流を一定に保つために電圧が変化します。ほとんどの場合、使用する電源は定電圧電源と考えて問題ないです。本HPでも特に断らない限り、電源と言えば定電圧電源を指します。上記のような電源は、定電圧電源・定電流電源、どちらの用途にも使える電源です。

定電圧電源を使う際、所望する電圧、例えばマイコンを動かすためにDC5Vが欲しい場合、電源器の設定値を5Vに設定します。同時に流せる電流、例えば500mAを設定し、不測の事態に備え流せる電流を制限できるようにします。設定が終われば、outputボタンを押して、電気を供給します。

電源器には、シリーズ電源器とスイッチング電源器の2種類があります。スイッチング電源は、スイッチングノイズが出る場合がありますが、最近ではノイズが気になる電源はほとんどありません。ノイズが気になるような精密計測をする場合には、シリーズ電源器を使うことをお勧めします。

回路に修正を加える際には、電源を切った状態で行うことが原則です。最近では高電圧回路を扱うことは、稀なので感電の危険性は少ないですが、電源を入れたまま回路修正を行うと、電子機器の破損につながることがありますので要注意です。

モバイル運用などでは電池を使用します。電池も定電圧電源の一種です。必要に応じて使い分けてください。一般的な電池には電流を制限する機能はありませんので、短絡(ショート)させると、一気に大電流が流れ、発熱、最悪の場合には発火する恐れがあります。電池には電源器のようにON・OFF切り替えることは出来なく、常に端子から電気が流れる状態です。保管する際には、金属のケースは避け、保管中に短絡事故が無いように注意してください。

電源と接地(保安接地、信号接地、動力接地)

接地(グランド)は3種類に大別することができます。保安接地は、感電防止のために機器の筐体などを接地(アース)するために用います。信号接地は、センサなどの基準電位(グランドレベル)です。動力接地は、モーター、ヒーター等の比較的大きな電力を使う機器のための接地線(グランド線)です。

一般的には、これら3種類は電気的には同じなのですが、実務上は、別々に扱う方事が望ましいです。特に信号接地線は他者からの影響を受けやすく、センサの検出に影響を与えることもあり得ます。1つのシステム(機器)内では、これらが共存することが多いのですが、1点だけでそれぞれを接続するようにします。

例えば、圧電材料を使たセンサの場合、出力信号が正負に出力されますので、基準電位をグランドレベルとして、±2電源のOPアンプを使って信号処理する場合、センサの基準電位(センサのグランド電位)をプラス側にシフトさせ、全体をプラス側だけで処理する場合、どちらも使われるので、センサの基準電位には注意してください。

また、信号用の接地線どうしが複数点で接続され、ループを形成することが無いようにします。信号用の接地線どうしも1点だけで接続されるようにします。複数の同軸ケーブルを使った場合、同軸ケーブルのグランド側どうしが、その両端で接続されループを形成することがあります。要注意です。

1点アース

POR(Power On Reset)回路

PORとは、機器の電源が入った直後、電源が入った機器を改めてリセットする機能を言います。また、同一電源に接続された周辺機器より、わざと動作開始を遅らせる機能もPORです。

最近では、機器間の通信や機器内部でのセンサとマイコンとのデジタル通信など、通信が必要になることがほとんどです。例えば、MSMのようにマイコンとセンサがデジタル通信を行う場合、センサの動作が安定した後、マイコンが少し遅れて、ONするようにするのがPORです。

電源器が動作開始すると、所定の電圧(電流)に達するまで、出力が変動します。例えば、5Vを出力すると、0Vから5Vまで、電気的には緩やかに電圧上昇します。この時の変移の違いにより、機器側の動作のタイミングがずれて、誤動作につながる恐れがあります。このような現象を防止するためにPOR回路は重要です。