本プロジェクトの成果をプラットフォーム(PF)化することによって普及することが期待されています。そこで、本プロジェクトでは開発段階中の成果物を限定したユーザに利用して頂き、完成までを加速する方法を採用しています。
協力支援企業の内容や個別の成果につきましては、問い合わせ先にご連絡ください。
(1)PreMSMを使ったCPSの構築
本学実験室内に構築したCPS(Cyber-Physical System)のデータフローです。
センサを取り付けた実空間(フィジカル空間)で計測したデータを、マイコンから、リアルタイムフィードバック系(赤矢印)とIoT系(青矢印)の2系統に同一内容・同時配信します。
リアルタイムフィードバック系のルートは、ロボットの制御用のPCに直接接続され、その場でのロボットの制御のためのセンシングデータとして用います。一方、IoT系はゲートウエイを介して、エッジサーバー・クラウドと順に送ることにより、クラウド(サイバー空間)でデータ解析を行います。
リアルタイムフィードバックでは、センサ信号の信号強度(諧調値)が得られれば制御に持ちることが可能ですが、IoT側のデータ解析には、計測値の信号強度だけでなく物理量化学量に即した意味を持たせることが必要です。ゲートウエイでは、計測値に単位を付与するとともに、計測値を単位に応じたスケール変換を行います。ゲートウエイには複数のセンサモジュールを接続することが可能です。
クラウドで得られた知見(データ解析結果)は、エッジサーバー経由でロボットの制御用PCに定期的(リアルタイムではなく)に送り返し、ロボットの動作時のパラメータとして使用します。
そのパラメータを利用して動作しているロボットの状態をセンサモジュールを使って計測し、データを再びクラウドに送りデータ解析を行い、フィードバックします。このようにデータが循環するCPSを構築しました。
本研究で用いるセンサモジュールとは、9軸センサ、温湿度気圧空気質センサ、RGBセンサ、照度センサ等、を1つの基板に実装し、計測データを取得することができるデバイスです。別途、個別のアナログ/デジタルセンサを取り付けることで、それらの信号を取り込むことも可能です。
本プロジェクトでは、その事前評価版(preMSM: preliminary Multi Sensor Module)を作成しました。開発に際しては、大阪日本橋や東京秋葉原と言った電気街で容易に手に入れることが出来る部品を集めて、個人でも簡単で安価で作成できることをコンセプトにしました。
写真が試作したセンサモジュールです。簡単な使用方法はクイックリファレンスとしてまとめています。
取り扱いに関する詳細説明はユーザーガイドをご覧ください。それぞれの基本項目に関しては、一般情報を参照ください。
このHPには、プログラムのダウンロード、意見交換のためのフォーラムを設けました。参考となる事例についても紹介しています。基板設計から部品の実装まで、学内で行ってきた手順についても今後紹介する予定です。
これからの研究の流れを以下に示します。
ハードウエアとソフト等の情報を本学より提供します。ユーザーは実際の現場で使用していただき、有効なセンサデータ(計測値)とは何か、その活用はどのようすると効果的か等、不定形で脆弱な物を取り扱う現場(例えば、食産業、農林水産業)での評価結果をフィードバックしていただきます。
本学の研究に賛同いただき、実験にご協力いただける方は以下の連絡にお問い合わせください。
問い合わせ先
立命館大学 教授 清水正男
mst21786★fc.ritsumei.ac.jp
※★記号を@記号に置き換えて下さい
既に推進協力企業様としてお手続きいただいてる方におかれましては、ユーザー登録を完了していただきますと詳細情報のページがご覧いただけます。ユーザー登録をお願いします。
(2)ROS2
ROSは、Robot Operating System(ロボットオペレーティングシステム)の略です。ロボットシステムを開発する際に利用するツールやライブラリが含まれたオープンソースソフトウェアを指します。ROS2は安全性やリアルタイム性を向上させた次世代バージョンのROSであります。本プロジェクトではROS2を用いて実用化に向けたロボットシステムを開発しています。
現在、左図に示すURロボット、Robotisモーターで駆動するロボットハンドで構成されるシステムはROS2を用いて構築しました。URロボットのROS2での動かし方について、ご興味がある方々は下記のstep-by-stepチュートリアルをご参照ください。
Introduction of how to control ur_5e manipulator by using ROS2
また、RobotisモーターをROS2での駆動チュートリアルは下記のリンクからアクセスできます。
(3)エンドエフェクター
農林水産品、食材と言った脆弱で形状が不揃いな対象物を把持するためのハンドの研究を行っています。高速動作できることを重視し、実現場での作業時間短縮に貢献することを目指しています。
現在、左図に示す様々なエンドエフェクタを開発しています。把持対象物は、細断食品(刻みネギ、コーンなど)、農作物(キュウリ、大根等)、食器等があります。柔軟材料や力制御等を利用することによって、把持する際に対象物への負担を最小限にすることを工夫しています。
エンドエフェクタにpreMSMなどのセンサを取り付け、SSESを実現しています。SSESを用いて、ハンドリングに関係する情報をエッジサーバーを通してクラウド側に転送します。クラウド側で必要な処理(AIモデルの再学習など)を行い、フィジカル側(ロボットシステム)にフィードバックする仕組みを構築しています。
詳細は右のリンクをご覧ください。 https://sip-sses.net/end-effector/
(4)食器と食品のデータベース
食器や食品のハンドリング戦略を生成する際に、対象物の物理特性が重要であります。そのため、左図に示す食器と食品のデータベースをそれぞれ構築しています。食器のデータベースは食器の形状パラメータや質量などのデータを含めます。食品のデータベースの場合、3Dスキャナーを用いて、食品の3D形状を計測しました。食品の柔らかさについて、圧縮試験を行い、ヤング率を推定しました。